湖ノ狼

Umino Okami

オオカミたちの旅路

ゲーム

森の静寂と嵐の気配。
仲間と共に、向こう側へ。
手の届かない、物語の中へ。
時を超える、伝承の中へ。

仲間と共に湖を渡る

湖ノ狼(ウミノオオカミ)というゲームを作りました。オオカミ達が仲間を探して湖を渡る。という内容です。山形県村山地方に伝わる「藻が湖伝説」(もがうみでんせつ)から着想しました。山形ビエンナーレ2022にて展示します。

山形ビエンナーレ2022
現代山形考 藻が湖伝説

湖ノ狼(うみのおおかみ)は山形ビエンナーレ2022の出展作品です。同イベントの「山形現代考 – 藻が湖伝説」プロジェクトに参加。開催期間中は展示会場の一つ文翔館議場ホールにてプレイしていただけます。

展示日
2022年 9月
3日(土)・4日(日)・9日(金)・10日(土)・11日(日)
16日(金)・17日(土)・18日(日)・19日(月祝)
23日(金祝)・24日(土)・25日(日)

展示時間
9:00−16:30

展示会場
文翔館議場ホール

人知れず消えたもの

「更地を見ても、元々何があったのか思い出すのが難しいな..」

作品を着想を探るため、現地調査のフィールドワークに参加していた時、そんなことが頭をよぎりました。かつて何かが存在していた跡地。いつから無くなってしまったのだろう。

山形には村山地方がかつて大きな湖だったとされる「藻が湖伝説」という伝承があります。まさか、と思いつつも、船着観音堂のような名が残っていることから、もしや、と想像を巡らせてしまいます。

そしてこの藻が湖には数多の「かつて存在したかもしれないもの」がつながっています。あたかも水中に沈んでいるかのように。我々は湖面からははっきり見えない、その物語にロマンを感じ、想像力を刺激されているのかもしれません。

しかし、その浸水は現在進行形であることを知ります。フィールドワークで訪れた船着観音堂は、作品の展示が始まる頃には解体されて更地になっている可能性が高いということでした。

私は言いようのない寂しさに包まれました。藻が湖を想起させる神社や言い伝えは、いつまで残っているだろうか。いずれ、あの更地のように、そこに何があったのか思い出せなくなってしまうのだろうか。

定めの気配

かつて山形にもオオカミがいたそうです。実際、藻が湖の南には狼石という巨石があり、オオカミと人々に交流があったと言い伝えられています。しかし、もはやそのオオカミが実際に生息していた痕跡をみつけることは困難で、次第にそれは記憶から伝説へと変わりつつあります。

本作はゲームです。狼が仲間を集め、藻が湖を渡る。東根の貴船神社から、西根の船着観音へ。オオカミたちは何故湖を渡るのか。そして東から西への旅で何に出会うのか。それは「かつて存在したかもしれないもの」が待つ常世の入口なのかもしれません。

沢渡観音堂 木造十一面観音菩薩立像

船着観音堂(内部)

この作品に登場する一部のオブジェクトは株式会社ニコンが進めているプロジェクト「郷土芸能や民俗芸能の継承や文化保存のための3Dアーカイブ」から使用させていただいております。モデリング協力:中川源洋(株式会社ニコン)

藻が湖伝説の断片 多元的記録 ニコン

藻が湖の舞台となる地形は、現在の地形を参考にしながら制作しましたが、作品として成立させるために距離や高低差の縮尺を調整しています。地形解析:齋藤光佑(鹿野研究室)

バージョン

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