大歳ノ島

畏怖と吉祥

ゲーム

四人の異形が、山頂で出会う時。
島が再生する。山頂を目指せ。
吉祥に祈れ、畏怖を祓え。
共に供えよ、神を迎えよ。

異形達が山頂で出会う時

この作品は、架空の島のお正月の行事を描いたゲームです。主人公は仮面を被った四人の異形達。彼らが山頂で出会い、御供物をするとき、島は生まれ変わる。 そんな言い伝えを体験する物語です。

畏怖と吉祥

どんなに科学が発達しても、私たちは縁起を気にしてしまいます。また人の力が及ばない圧倒的な自然の力の前では、祈ることしかできない事もあります。こうした畏れは、風土から生まれ、各地域で異なるものです。そしてこの恐怖から逃れるために、様々な神話が生み出され、吉祥とされる出来事が伝承されてきたのではないでしょうか。

年越しとマレビト

お正月は不思議なものです。 年を越した瞬間、新しい時代に生まれ変わるかのような、新鮮な気持ちになることがあるからです。 しかし、この時の流れは老いをもたらす、怖いものでもあります。この恐ろしい「時」を区切り、おめでたい事に変えてしまうのが、正月というものかもしれません。

また年に一度だけ訪れ、集落に祝福をもたらすという来訪神の伝承が各地にあります。こうした年に一度の習わしは正月と同様に、回帰年という時の周期を擬人化したものと考えることができるはずです。

参考文献

異質なる他者や共同体へと開かれた〈交通〉の場所は、日本の古代にはチマタとよばれた。赤坂憲雄著「境界の発生」

延喜式を調べると、農作物よりもはるかに多くの海産物が神に供えられています。稲作だけを中心として日本の文化を考えるのは一面的。網野善彦著「海と列島の中世」

水の害にたいする畏れ、死者への弔い、あるいは災害体験を記憶するために、数多の怪異伝承がうみだされてきた。畑中章宏著「災害と妖怪」

マレビトとは、異郷から時々やってくる神聖な来訪者であって、村里を訪れ祝福を与え、そして立ち去って行く。大林太良著「正月の来た道」

塩の通る道は先に通ずる重要な道。牛や馬、歩荷が運んでいた。塩だけでは儲けにならず、塩魚も運んだ。山中まで塩魚が行き渡っていた。宮本常一著「塩の道」

エビス神をめぐる鮭の回帰は「神話」であり、普段は意識しない殺生に対する畏れを「神事」にする。「民俗学から考える動物の恵みと供養」東京大学東洋文化研究所-菅豊

ゲームとしての表現

東北の民俗伝承をテーマにゲームを作る。そう思い立ったのは半年前のことでした。これまで私は映像やインタラクティブな表現を作った経験はあったのですが、ゲーム制作は初めてのことで、技術的にもシステム的にも暗中模索をしながらの開発となりました。

  • オープンワールドの世界で心地よく移動できる操作性
  • 複数のキャラクターが同時に同じ目的を達成する演出
  • モノローグとして客観的な語りが展開する物語

これまで経験してきた3DCGとプログラミング、インタラクションのデザインが統合され、一つの作品として形となっていく感覚は、今までにないものでした。またツールの表現力と多様なアセットによって、個人がゲームを作れる時代が来たことを強く感じた制作となりました。

バージョン

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