光線のワルツ

聞こえない光、見えない音楽

デジタルインスタレーション

何かにおびえるように、何かを待ちこがれるかのように、世界は揺れる。捉えられないほどの、ひそかな揺れ。想像もできないような、巨大な揺れ。

全ての存在はさまざまな大きさで、静かに波打つ。音としての波。光としての波。個としての波。有機と無機の波間を、それぞれの速度で。

小さきもの、大きなもの

物理学の世界では、宇宙という最も大きな世界を知るために、最も小さな素粒子を調べているそうです。そして興味深いのはその素粒子が私たち自身を構成している要素でもあることです。人間は自分を構成している最も小さなものを探り、自分たちが置かれている最大の空間の謎に近づこうとしています。いつしかその謎は解けるのでしょうか。それともその謎の先にもっと大きな謎が隠れているのでしょうか。

すべてを相対的に

素粒子の一つに光子というものがあるそうです。これは私たちにとっては光としてとらえられている現象・存在です。粒子ですから物体にぶつかって反射したり、影を作り出します。でも不思議な事に光は、粒子でありながら、波でもあるそうなのです。ですから光と光を交差させても衝突する事なく、すり抜けてしまいます。映像はこうした不思議な現象をマテリアルとした、光のうつろいの表現である事に気づきました。

自動アーカイブシステムが残したもの

この作品には展示中の様子をリアルタイムに外部のサーバーに保存する起毛も実装しました。作品が生み出す、一期一会の表現をとどめておきたかったからです。最終的に展示期間中に生成された画像は3000枚ほどになりました。

そして最後に保存された画像は、2011年3月11日14:10でした。あの東北大震災の発生する36分前です。そしてこの作品は地震の揺れに耐えることができず損壊。展示会も中断となりました。

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