見届ける - 小川洋子さんとの対話から

QONVERSATIONSというサイトにて、小説家の小川洋子さんにインタビューする機会をいただきました。小川さんの本は何冊か読ませていただいていて、その独特の世界観に魅了されていましたから、インタービューできることが決まってから、とても心が躍りました。それと同時に、小説家とはどんな人なんだろう、何を聞けば良いのだろう。作品の感想などを、著者に直接あれこれ言ってしまって良いのだろうか、という気持ちもわいたのでした。

一時間ほどのインタビューの時間は、あっという間に終わりました。小川さんの思考はとても映像的で、想像の中に、小説の世界が「存在」しているかのようでした。その存在する世界を、淡々と記述していく事で物語が生まれていくのです。物語とは作者が強引に作り出すものではなく、想像の世界に寄りそって見届ける事。なんて独特の創造なのだと、ただただ驚くばかりでした。ご自身も自分の執筆のスタイルに気づかれたのは最近だとおっしゃっていたのが、とても印象的でした。

芸術と科学の親和性を感じながら、謙虚に好奇心を具体化していく事が出来たなら、どんなに幸福な事だろう。
インタビューを終えた私は、新幹線の車窓を流れる街並の景色を見ながら、何度も何度も、見届けるという事、見届けられるという事、と想いを巡らせるのでした。

一生かけて見届けられるもの。自分の一生を見届けてくれる人。もし、誰かが自分の一生を見ていてくれて「よくやりましたね」と言ってくれるのなら、人生の意味も変わってくるはずです。おそらく神話や宗教といった、個人を超えた物語が生まれたのは、こうした思いの重なりからなのではないかと思います。

でも、そうした「見届け」が出来るのは究極的には自分自身だけ、なのかもしれません。なぜなら自分の人生に絶えず寄り添えるのは自分自身に他ならないからです。

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