未来派図画工作のすすめ/自由ノート

新しい橋

2週間に一つの言語が消えていくらしい。

言葉は文化の象徴である。古くは植民地制度、今はグローバル化の流れにまきこまれて、少数派の文化が次々と消えていく。そして文化の多様性は巨大な世界企業の手によって、どんどん平均化していく。それは本当に幸福な事なのだろうか?

多様性を認めない社会、差異を認めない社会。それが何をもたらすのか、今の世界情勢を見れば明らかである。 宗教や文化によって、価値観は大きく異なる。一方で正義なことが、もう一方では悪にもなりうるのだ。そしてそのギャップを根本的になくしていくことは、文化と民族の否定につながることもあるために非常に困難である。

本当に必要なのは、異なるものの境界を越える橋である。

人類はこれまでの技術と知識を総動員して、この橋をつくらなければならない。 この橋がどのようなものなのか、新しい概念なのか、宗教なのか、政治的な仕組みなのか、誰も答えを知らない。でも私はそれが芸術やデザインであれば、と思っている。そして人間はこの橋をつくるために生まれてきた、と思っている。

世界の現代美術とデザインの中心軸とも言うべきMOMAがリニューアルした。映像とインターネット時代を意識した設備は、芸術とデザインが新しい時代に突入した証でもある。

そしてイームズをはじめとする20世紀のデザイナーがMOMAとともに歩んだように、ぼくらも新しい時代にふさわしい発想と表現に挑戦しなければならない。そしてその挑戦は人間同士の橋だけでなく、人間と環境の橋にもなるはずだ。

ジャングルは数千の生物が生と死の中で混ざりあって、つくり出された大きな世界。数えきれない異なるものたちが、大きくて豊かな一つの世界をつくり出している。ジャングルを彩る鮮やかな色のように、僕らは芸術とデザインを使って橋をつくるのだ。

Photo by Nick Fewings on Unsplash

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