未来派図画工作のすすめ/自由ノート

何もないという存在

今年の冬はとても雪が降った。仙台も例年以上に雪が多かったような気がする。雪国にとって雪は歓迎されるものではない。渋滞はするし雪かきは大変だし、そして何よりも寒い。でも私は雪が好きなのだ。 雪のふる夜道。街の光で舞い降りる雪が浮かび上がるとき、何もないと思っていた空間、気にもとめなかった地上と空の間が、立体で密度のある気体の固まりであることに気づく。

そんなとき私は立ち止まって真上を眺める。雪はゆっくりと音もなく私に向かってふってくる。そのうち自分が空に向かって飛んでいるような気持ちになる。 何もないと思っていたものが、実はものすごく重要だったりする。たとえば空気がそうだ。数学はゼロの発見で飛躍的に進化した。無は無が存在するということで、無ではない。なんて考えかたもある。

気付いているようで気付いていないもの。当たり前の存在は実はかけがえのない存在。 ちょっと大げさだけど、私は雪に地上と空の間、すなわち「空間」の存在を教わったのかもしれない。

Photo by Chandler Cruttenden on Unsplash

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