未来派図画工作のすすめ/自由ノート

われらの美をば創らねばならぬ
曾つてわれらの師父たちは 乏しいながら可成楽しく生きてゐた そこには芸術も宗教もあった いまわれらにはただ労働が 生存があるばかりである 宗教は疲れて近代科学に置換され 然も科学は冷く暗い 芸術はいまわれらを離れ 然もわびしく堕落した。農民芸術概論綱要 ー 宮沢賢治

常識は既に存在し、様々な学問は当たり前のように教科書に載っている。食べ物は誰かがどこかで作っているし、水も当たり前のように蛇口から出る。電車はよく分からないけれど毎日動いているし、調べようとしなくても世界中のニュースがポータルサイトに表示されている。数えきれない「当たり前」に囲まれて、私達は今、驚くほど受動的な生き方をしている。

生活の大半を受信に使う毎日。

学校の教育は受信機をつくりだすには素晴らしいシステムなのかもしれない。いや、社会が受信機をつくり出すように努力しているのかもしれない。とにかく、発信機は少数で、受信機は多数のほうが一部の人には何かと都合がいいのだ。今や芸術も限られた人の経済的表現手段にすぎない。

受信のしすぎは何かを忘れさせてしまうのだろうか。つくり出しているかのようで、結局はコピー&ペーストだったり、勘違いのまま批評していたりする。しかし、とにかく一方的な受信を疑ってかかる時期に来ている。作る人が増えれば、批評は激励に変わる。利用者が制作者と同一人物になる。発信と受信が混ざりあって、送受信は本当の意味での対話となるだろう。

Photo by ‏🌸🙌 أخٌ‌في‌الله on Unsplash

いまやわれらは新たに正しき道を行き われらの美をば創らねばならぬ 芸術をもてあの灰色の労働を燃せ ここにはわれら不断の潔く楽しい創造がある 都人よ 来ってわれらに交れ 世界よ 他意なきわれらを容れよ農民芸術概論綱要 ー 宮沢賢治
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