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未来派図画工作のすすめ/自由ノート

ことばから心をみる - 言語学をめぐる二十話
ニール スミス(著), Neil Smith(原著), 今井 邦彦(翻訳)

黄色で描かれた青という文字があるとしたら、それは黄か青か。色の意味と言葉の意味がぶつかり合って混乱します。意味と意味が互いに干渉している感じ。

意味とは何だろう。名前とは何だろう。言葉とは何だろう。最近私の頭から「意味」が離れません。広辞苑で調べるとある表現に対応し、それによって指示される内容。 では内容とは何か調べると現象を成り立たせている実質や意味。ループしてしまいます。意味は意味。意味を他の言葉で説明するのが難しい。そしてそれは色にも同じことがいえます。

例えば赤を説明するとき「リンゴのような赤」とか「バラのような赤」とは表現できても、赤そのものを例えなしで説明することができません。そしてよく考えてみると、言葉全体が例えなしでは説明不能のような気がしてくるのです。

意味は他の意味によって形成されている?言葉や意味はお互いに相互関係を築いて成り立っているのでしょうか?普段何も気にせず使っている言葉。理解しようとするとものすごく複雑で難解。こんな道具をいとも簡単に使いこなせている人間の能力にただただ驚くばかりです。

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区切らない
バックミンスター・フラー
専門分化とは事実上、奴隷状態の少々おしゃれな変形にすぎない。バックミンスター・フラー

極度の専門分化は、大きな変化に対応できなくなる。専門的であるがゆえに、視野が狭くなり、変化の中で新しい道を見つけられなくなるからである。もちろん進化の為には専門化が必要であることには間違いない。 しかしバックミンスター・フラーは気づかせてくれる。区切りは絶対的なものでなく、信じている想像上の区切りである。と。

もともと知識や学問には区切りはなく、人種や民族にも区切りがないのだ。地球にかかれた国境も、たまたま人間が現時点で決めているルールにほかならない。 だから私達は、自分自身の尺度で物事を区切っても良いのである。漁師が経済のスペシャリストでも良いし、電気技師が彫刻家であっても構わないのだ。盲目的に境界を信じず、区切らない姿勢こそ、新しい価値観を作る可能性を秘めているように思う。

ふたつの論文が、会議のまったく異なる部門で発表された。ひとつは人類学で、もう一つは生物学。2人の科学者は、絶滅の共通原因を追っていたのだ。そしてこの研究者達が発見したそれぞれの原因というのが、実は同じものであることが判明した。どちらも絶滅は過度の専門分化の結果であると、結論を出していたのだ。バックミンスター・フラー「宇宙船地球号 操縦マニュアル」より
空を飛ぶ値段
旅行する費用が安くなったら、世界は変わるかもしれない 20世紀ボヤージのアンケート

20世紀ボヤージのアンケートの中にいくつかこのような言葉がありました。一度でも行ったことのある街には親しみがありますし、住んでいたことのある場所はかなり思い入れがあるものです。私自身もニューヨークへ行った事がなければ、世界貿易センタービルの崩壊にはそれほど関心がなかったかもしれません。

しかし世界中の航空会社はテロ直後から、厳しい経営状態が続き、大幅赤字と大幅リストラを余儀なくされています。アメリカン航空は2001年の18億ドル(約2,000億円)の赤字。ベルギー航空とスイス航空が姿を消しました。

イラク戦争の費用は900億ドルという試算もあるらしいのですが、この途方もない金額はアメリカン航空の2001年の売り上げの4倍以上。平和の為の巨額な防衛費。これを少しでも航空運賃の負担へまわしたら、皆もっと気楽に外国へ行き来できるようになります。そしてそれこそ本当に平和の為にお金を使うということなのではないか。

子供じみた発想かもしれないけれど・・、壁を作るよりは効果的だと思う。

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Bonjour !

「Bonjour !」から始まるフランス人からのメール。遠い国からの感想に素直に喜ぶ。そして、こんなときコンピューターはコミュニケーションの為に発明されたのではないかと思うときがあります。 記憶したり計算したり予測したり。コンピューターは人間の脳の能力を肩代わりしたり、拡張してきました。それは生活を便利にして豊かにしていくため効率化。道具のもっとも高度な利用であることは間違いないでしょう。

いまやコンピューターが無い社会は想像できません。 しかしアラン・ケイが「コンピュータはコミュニケーション増幅装置である」といったように、コンピューターの本当の目的はコミュニケーションの為なのかもしれません。生活を便利にして、豊かにしていく。 これは言い換えれば争いをなくし、皆が公平に幸せに生きられる事です。その為にもっとも重要なのは、計算でも記憶でも無く、対話だと思うのです。

100年後につくられる年表を見て、人類は世界中の人々が対話できるようにコンピューターを発明した。と記されるなんて想像すると、コンピューター社会も捨てたもんじゃない気がしてくるのです。

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まぼろしの市街戦
フィリップ・ド・ブロカ
英国の通信兵・プランピックはドイツ軍のしかけた大型爆弾の解除を命じられるが、その町は精神病院から逃げ出した患者とサーカスの動物たちが占拠する異様な世界になっていた・・・。「まぼろしの市街戦」あらすじより

誰が本当は狂っているのか。精神異常者か、政治家か、軍人か、企業家か、それとも私達か。フィリップ・ド・ブロカ監督の「まぼろしの市街戦」という映画は、美しくも奇妙な映像で、本当に狂っているのは誰かを問いかけてくる。

広川太一郎吹き替えというシールにひかれて買ってしまったこの作品は、直接は語りかけないものの、痛烈な戦争批判をメッセージしているように感じた。 日本政府は、いや私たち日本人は、紛争地域に軍隊を派兵する。

アメリカや日本の政治家が話す言葉は、ほとんどがプロパガンダのようにしか聞こえない。50年前をすっかり忘れた政治家と、中途半端な自分探しに夢中の日本人は、いつの間にかまた同じ道を歩んでしまうのだろうか。

 

どこからでも

デンマークの首都コペンハーゲンから飛行機で1時間。そして空港から車で1時間。海岸に面した人口17,000人の小さな町ストルーア。古くから続く農業と漁業の町。

そしてそこは世界のオーディオメーカーBang&Olufsenの町でもある。B&Oはこんな地方の小さな町から、すばらしいデザインを全世界に発信しつづけている。

・本物であること
・ひと目で理解できること
・信頼性があること
・家庭用であること
・簡潔であること
・独創的であること
・個性的であること

これがB&Oのデザイン精神。そして技術開発の基本精神は「We think differently」発想を変えて。すばらしいポリシーとデザインがあれば、誰でも、どんな場所でも、きっと世界から注目される。そして誰にだってそのチャンスがあるはずなんだ。

つくるは楽しい

ホテルマグリット」(現ホテルガジェット)という作品をせんだいアートアニュアル2003に出展。田中秀幸賞をいただきました。公開審査では5人の審査員とたっぷりお話できて、たくさんのコメントをいただきました。それだけでもとてもドキドキなのに、最終選考の5作品まで残って・・・。

とにかく「つくる」は楽しい。そして「つくる」と「生きる」が「活きる」になる。繰り返される日常に、鮮烈な非日常を。自分の歩いている道が広くなっていくような感覚とでもいいましょうか。脳が本来の働きを取り戻すような気がします。

自分の作った作品を、他人と一緒にボーっと眺める。なんか不思議な気分。「私が作りました」と言いたいような言いたくないような。小さな事だけれどこんなドキドキめったに味わえない。興味を持って見てくれていた皆さんありがとう。そして、こんな大人の文化祭を企画してくれた皆さんありがとう。

一秒のあいだに
一秒間に「ハチドリが55回羽ばたくとき、太陽系が銀河を220Km進み、人口が2.4人増えている。」1秒の世界 ダイヤモンド社より

一秒の間に世界中で何がおこっているのか、様々な視点で淡々と取り上げた一冊。ページをめくるたび、想像は広大な世界からミクロの世界まで一気に駆けめぐり、次々と世界の変化を経由することによって、気付くのです。この瞬間に全てのものが同じ世界に共存していることを。

事実を新しい尺度でピックアップすることで、問題をただ提起するだけでは実現できない、強いメッセージが作り出される。多数の事実から浮かび上がるその新鮮なメッセージは、選挙の時に政治家が大声を上げる主張とは全く逆に、心の奥まで響くのです。

こんな本を読んでいると、新しい視点の教科書が必要なのではないか。科目で区切った面白みのない勉強よりも、もっともっと大人になったとき役に立つのではないか。そんなふうに思えてくる。

EURO + ASIA = EURASIA

ユーラシア大陸。地球上の陸地面積の3分の1。世界人口の4分の3がこの大陸に住む。そしてその大陸に広がるイスラム圏。

「あなたの上に平和がありますように」
これはイスラム圏共通の挨拶。日本で言うところの「こんにちは」。

イスラムでの挨拶がこんなにも美しいなんて想像もしていなかった。どうやら挨拶がとても重要で、いろんなバリエーションがあるらしい。 多くのアメリカ人、そして日本人も、こういったイスラムの文化について何も知らない。相手の挨拶も聞かないまま、相手の命を奪う正義。

これだけネットワークが進歩しても、いくら情報化が進んでも、僕らはとても狭い情報しか知らない。そしてそれが本当なのかも知らない。結局重要なのは、知る術よりも、知ろうとする心なのだろう。

Photo by ‏🌸🙌 أخٌ‌في‌الله on Unsplash

ムツばあさんの花物語

「長年お世話になった畑を、荒らしておくのは申し訳ない、せめて花を咲かせて山に返したい」 埼玉県秩父の山間。5軒の家と9人の人々が家族同然に生きる小さな集落。代々続く畑をやめ、そこに木や花を植え続ける老夫婦がいます。それまで何十年も耕してきた畑を閉じ、その土地を山へ帰そうとしているのです。

花が咲きほこる花畑にして。

偶然見たドキュメンタリーの再放送にこんなに心が動かされるとは思ってもいませんでした。花はこんなにも美しい。そして花を美しいと思えることが、今とても難しい。今、花はプレゼントやお祝いのツールとして利用されているのがほとんどではないだろうか。 来年咲く花が待ち遠しいという気持ち。僕らは何か大きなものを喪失している。

Photo by Miro Dozo on Unsplash

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