Understand Music
finally.

ドイツのマインツに拠点を置くデザインスタジオ「finally.」が制作したモーショングラフィックス。音楽の様々な特徴を「動く譜面」として視覚化した映像。ピアノの練習のような雰囲気と、テンポの良い展開が素敵です。

https://vimeo.com/54763818
CICLOPE
The Line Animation Studio Ltd

広大で美しい背景と、澄み渡る音楽。鮮やかな色彩の対比と心地良いスピード感。孤独なドローンが健気に見えてきて、切なく、その行く末を見届けたくなります。

2016 Ciclope Festival Awardsのオープニング映像として制作されたコンピュータグラフィックス作品。制作したのはロンドンのThe Line Animation Studio。表現のタッチやストーリー展開など、素晴らしいの一言。

https://www.thelineanimation.com/work/ciclope/
異端児の城
青谷明日香

直線的に育つ樹木がないように、僕らはどこかいびつです。鏡を見ればそこには自分という異端児が、でも、周りを見渡しても実は異端児ばかりなんですよね。だから、こうあるべきという形を捨てて、多様な歪んだ形を受け入れ合う、というのが豊かな生き方なんだろうな、と思うのです。

http://aoyaasuka.com/itanjinoshiro.html
平成
折坂悠太

坂の上の雲を追い求めた昭和から、坂を下った先の平成へ。テレビの向こうから聞こえてくる戦火に、本当にこんな生き方で良いのか?と問いながら駆け抜けるフラットな毎日。

多国籍な音楽性と、独創的な歌詞の世界。音楽的な豊かさを感じると同時に、平成という時代を、鮮やかに音楽化した才能に圧倒されるばかりです。

http://orisakayuta.jp/heisei/
分離派の夏
小袋成彬

見てはいけない手紙を読んでしまったような、卒業文集の中の一片を思い出すような、鋭い私小説。そしてその小さき個が、激しく空へと広がるような世界。Summertime/分離派の夏/Piercing。それぞれ雰囲気はガラッと変わるのですが、どれも鮮やかな対比が印象的なアルバムです。

http://obukuro.com/
ダーウィンのジレンマを解く
マーク・W・カーシュナー

人よりもはるかに色彩を見分けられる水生生物。水分がほとんどない砂漠に住む爬虫類。標高8000mの山脈を超える渡り鳥。過酷な自然環境に適応した様々な動物たちの高度な機能性を見ていると、本当に、突然変異のようなランダムな遺伝子の変化だけで、このような進化が可能なのだろうか?という気持ちが湧いてくる。

眼のような複雑な器官の扱いにダーウィンは窮した。最初の眼が出現するには、それ以前に部品が独立して進化していなければならない。マーク・W・カーシュナー著「ダーウィンのジレンマを解く」

領域は違いますが、コンピューターの世界における遺伝的アルゴリズムや機械学習においても、適切な適用にはその世界を司る大いなる存在が必要になるのではないか、と思うことがあります。

本書では進化の鍵として、生物体のネットワークや環境の刺激といった「複雑さ」が述べられています。読み進めていく中で、私の心に浮かんできたのは、その「複雑さ」こそが、人が古来から、神的存在として捉えてきた概念なのではないかということでした。

ダーウィンが変異と選択を柱とする進化論を提唱したことは彼の偉業であるが、変異に対し納得のいく説明をすることができなかった。ダーウィンのジレンマであるマーク・W・カーシュナー著「ダーウィンのジレンマを解く」
時計の一番簡単な部品であっても、やみくもに試行錯誤を繰り返しただけで、そのすぐれたデザインを作り出せるとは到底信じられない。マーク・W・カーシュナー著「ダーウィンのジレンマを解く」
進化論は難解な科学の問題というより、アメリカの政策の中に繰り返し浮上する感情的な問題である。進化論の反対者は公立高校のカリキュラムから強制的に排除しようとしている。マーク・W・カーシュナー著「ダーウィンのジレンマを解く」
Arena
Páraic Mc Gloughlin

アイルランドのアーティストであるPáraic Mc Gloughlin氏の作品「Arena」。Google Earthの画像を素材としていて、1フレームごとに別の場所の写真をつなぎ合わせて、地図が自在に動き出すような、連続的なアニメーションを作り出しています。

彼のインスタグラムもオススメです。

https://www.instagram.com/paraicmcgloughlin
一揆
勝俣鎮夫

この本を読むまで、一揆は、抑圧された庶民たちの怒りの行動だと思っていました。我慢に我慢を重ねて、限界に達した時、その力が権力に向けられる。そんなイメージでした。もしかするとこれは昔遊んだ「いっき(サン電子)」というビデオゲームの印象もあるかもしれません。

日常性を超えた問題、通常の手段では解決不可能な目的を達成するために、現実性をこえた特殊な集団として結成されたのが一揆である。勝俣鎮夫著「一揆」

もちろん一揆の最終局面として強者に対する弱者の抵抗、という一面はあったはずです。しかし、私が何よりも驚いたのは、一揆が「合意形成のための装置」だったという所です。コミュニティにおける中立的な意思決定。神のような「大いなるもの」を媒介とした人と人との連帯。そして、私的な縁をこえたところに生まれる公正さ。そうしたもののために一揆は存在していたのです。

https://www.amazon.co.jp/dp/4004201942
日本の中世は一揆の時代といわれる。この時期、あらゆる階層や地域に、共通の目的達成の手段として一揆が結ばれた。勝俣鎮夫著「一揆」
一揆に参加するためにはメンバーそれぞれの、社会的存在の諸関係を断ち切らねばならない。今日的にいえば「運動」に近い性格をもつものといえる。勝俣鎮夫著「一揆」
一揆結成なくしては、日常の場においては合議にもとづく公正な意思決定がなされない考え方が強く作用していた。勝俣鎮夫著「一揆」
メタファー思考
瀬戸 賢一
抽象的な思考対象について何かを語ろうとしたり、思考を巡らせようとしたりするとき、メタファーの登場は必然となる。 瀬戸賢一著「メタファー思考」

「意味を掴む」という表現はよくよく考えていると不思議な表現です。なぜなら私たちは物理的に意味を手で掴むわけではないからです。しかし、こうした喩え表現によって、もやもやとした抽象的な概念が、あたかも物や空間のように変貌し、私たちは「なるほど」と納得することができるのです。

私はビジュアルデザインの背景を探ろうとする過程でこの一冊と出会いました。実はこの本に出会うまで、メタファーは表面的な「喩え」を示しているぐらいの印象しか持っていませんでした。しかし、メタファーは人間が世界を認識するために必要不可欠な、強力な思考ツールであることに気づかせてくれました。それ以来私はメタファーの虜となり、その奥深さに魅了され続けています。

ユーザーインターフェイスにもメタファーはよく登場します。パソコンの画面をデスクトップと呼んだり、ゴミ箱のアイコンを用いるのも、捉えどころのないデジタル世界を、身体的に理解するため工夫なのだということがわかります。最近だとクラウドという喩えによって、どこからでもアクセスできる天空にデータが存在しているようなイメージが作られています。

こうしたメタファー表現は、対象となるものが抽象的で捉えにくいものであるほど効果が大きいようです。ということは、これから登場してくる様々なテクノロジーを理解するためにも、私たちはメタファー表現をどんどん活用していくことになるのでしょう。

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存在のメタファーは、言語的思考の出発点をなすメタファーであるといってよい。あらゆる思考対象をこの世に存在する「もの」と見立てるメタファーである。この世に存在すると見立てられたものは、この世に「ある」と考えられる。 瀬戸賢一著「メタファー思考」
メタファーは、常に具象を耕し、抽象を生む。しかし、この抽象の実は、純然たる抽象ではない。具象の種から育った抽象である。だから、私たちは、言葉を感じることができる。 瀬戸賢一著「メタファー思考」
喜怒哀楽の気持ちが心の中にあると考える。ある気持ちや思いや感情は、ひとつの「もの」として、心の中に「ある」心も私たちの身体のどこかにある。 瀬戸賢一著「メタファー思考」
屋根の日本史
原田多加司

人が自然の中で暮らしていくためには、自然との仕切りが必要になります。ゴットフリート・ゼンパーが19世紀に出版した「建築の四要素」にも、屋根・皮膜(壁)・炉・土台が取り上げられていますが、その中でももっとも重要なものが、屋根でではないでしょうか。屋根は夏の日差しを遮り、雨や雪から守ってくれる存在。壁と違ってプライバシーは確保できませんが、屋根は人間が生存していく上で必要最低限の自然との仕切りになるはずです。

この本は、建築の「屋根」に焦点を当てて、風土や文化の側面から日本の古建築の歴史について語っている一冊でした。縄文時代の竪穴式住居は屋根そのものが住居であるという点や、屋根は単に寒暑や雨露をしのぐためのものではなく、象徴性、身分の格差、芸術性といった多くの属性が形になったものである、という屋根に対する独自の考察です。

ということは、屋根は人の暮らしや思想が形となって現れたもので、屋根を見ればその土地の風土や文化、人々の営みなども見えてくる証として捉えることができます。さて今の日本の屋根から何が見出せるのでしょう。そんなことを新幹線の車窓に流れる住宅地を見ながら思ったのでした。

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屋根の形は世界中を見渡しても実に様々であり、その国の気候風土や伝統、生活様式、また材料、技術などの違いによって、多くの制約を受けながらも今日に至っている。原田多加司著「屋根の日本史」
日本の建物の歴史は縄文時代の竪穴住居にはじまると考えられるが、その最初の建物の形態を決定していたのは屋根だけだった。原田多加司著「屋根の日本史」
屋根が、建築空間とその上空を仕切り、自然と人間の生理の矛盾を緩和するという本来の目的から離れたとき、屋根は単に寒暑や雨露をしのぐためのものから、象徴性、身分の格差、芸術性といった多くの属性を負う運命に変わっていった。原田多加司著「屋根の日本史」

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